オレ様探偵とキケンな調査
「どうした?」


「ハ、ハイ…?」


「顔、赤いぞ」


「き、気のせいですっ」


「あ、そ」


言ってはみたものの、頬がポカポカして止んではくれない。


電車に乗っても、帯金さんの後ろを歩いても、信吾さんの会社に着いても。


時々、高い隣を見上げる度、あたしの呼吸は浅くなって、左手薬指のリングを隠すかのようにはめられた毛糸の手袋をただ見つめていた。
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