オレ様探偵とキケンな調査
「男は胃袋で掴めって言うから、掴めなかったアンタはよっぽど料理が下手なんだと思ってた」


お弁当を食べながら、また帯金さんは悪態をつく。


さほど忙しくもない探偵社、仕事という仕事はしてないけれど、ここに来て2週間、帯金さんの憎まれ口にも慣れてきた。


「素直に“おいしい”と言ってください」


「食ってやってるだけありがたいと思え。オレ、明日は肉じゃがな」


「小松さんは何がいいですか?」


「先日ご馳走になったエビフライ、おいしかったですな」


「ハイ。じゃあ明日はエビフライ、作ってきますねっ」


「無視かよ…」


こんなお弁当タイムが楽しい。


ここにいるとあたしが忘れてきた1つ1つを思い出せるような気がして、お腹も心も満たされた。
< 55 / 245 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop