オレ様探偵とキケンな調査
「いつも食べるの早いですね?」


「現職時代からのクセだ。いつでも外出られるようにな」


そういえば、元刑事さんだったんだっけ。


「でも、今はそんなに忙しくないんですから、もう少しゆっくり食べたらどうですか?」


「グズグズ食うのは性に合わん」


「胃、壊しますよ?」


「それは心配か?ただのおせっかいか?」


───って、言われると。


心配…なのかもしれない。


毎日、何かしらの依頼は受けていて家に帰ってる様子もなく、お酒臭いままこの事務所で寝泊まりの様子。


タバコは1日2箱はくだらなくって、不健康極まりない。


「体、壊しますよ?」


「壊したところで誰も困らん」


「そんなこと、ないです」


「アンタにオレの何がわかる」


「わからなくったって…心配はします」


「変な女。自分の心配だけしてろ」


…ごもっとも。


旦那の不倫で2年も泣き続けてきただけの女に、心配や同情なんてされたくもないよ、ね…。


「さっさと食え」


すっかりあたしの作ったお弁当をたいらげてしまった帯金さんの前で、あたしもモソモソとお昼をとった。
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