オレ様探偵とキケンな調査
事務所の扉が閉まって、あたしと帯金さんの2人きり。


さっきまでの賑やかな部屋とは違い、気まずさが漂う。


どうしよう…。


聞いてもいいのかな…息子さんのこと…。


触れちゃいけない帯金さんの傷だってことはわかってる。


わかってるけど…知りたい。


帯金さんの今日の笑顔の裏にある、影。


「あの…」


「んぁ?」


あたしは社長用のデスクの前で、帯金さんの鈍く光る目に焦点を合わせた。


「息子さんのためなんです、か…?」


「何が?」


「クリスマスとかお正月とか…息子さんのために祝ってるんですか?」


「明美か。余計なこと言いやがる」


“余計なこと”


その言葉に、やっぱりあたしが踏み込んじゃいけなかったことなんだ、と。


思ってみても、あたしは憂いの滲んだその目を反らせない。
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