オレ様探偵とキケンな調査
「毎回会に行っても初めて会うオジサン」
「…え?」
「記憶障害でさ、前の記憶も、最近の記憶も頭ん中にとどめていられねぇんだよ。会う度『オジサン、だぁれ?』って。『パパだよ』とは言ってやれない。この先ずっと、一生その繰り返しだ」
「どうして…離婚を…?」
「忘れられないんだとよ。苦しいって、玲奈が言ったんだ。オレと2人でいると、元気だった頃の亨を追ってしまう、って。過去にしがみついて前には進めないって。自分のせいで亨の未来全てを奪ってしまった、だから自分1人で背負って生きていきたい、そう言われて離婚届に判を押した」
感情を込めずに淡々と話すその声が、空っぽになった事務所に悲しく響く。
「見捨てたも同然だよな。オレは1人で背負うと言った玲奈に何もかも押しつけちまったんだ。傷だらけの亨と玲奈を傍で支えてやることもできないオレに『パパだ』と言う資格はない」
「そんな…っ…!」
「…え?」
「記憶障害でさ、前の記憶も、最近の記憶も頭ん中にとどめていられねぇんだよ。会う度『オジサン、だぁれ?』って。『パパだよ』とは言ってやれない。この先ずっと、一生その繰り返しだ」
「どうして…離婚を…?」
「忘れられないんだとよ。苦しいって、玲奈が言ったんだ。オレと2人でいると、元気だった頃の亨を追ってしまう、って。過去にしがみついて前には進めないって。自分のせいで亨の未来全てを奪ってしまった、だから自分1人で背負って生きていきたい、そう言われて離婚届に判を押した」
感情を込めずに淡々と話すその声が、空っぽになった事務所に悲しく響く。
「見捨てたも同然だよな。オレは1人で背負うと言った玲奈に何もかも押しつけちまったんだ。傷だらけの亨と玲奈を傍で支えてやることもできないオレに『パパだ』と言う資格はない」
「そんな…っ…!」