オレ様探偵とキケンな調査
───ギシッ


椅子を鳴らして立ち上がった帯金さんがあたしに近づく。


スッ───と、頬に伸びた手があたしの涙をすくう。


「そーゆーの、同情っつーんだろ」


タバコの香りが鼻先をかすめて。


涙で滲んだ視界には、今まで見たことのない痛々しい帯金さんの瞳があった。


───アタシガ救イタイ


そう思った瞬間、あたしは濡れた唇を帯金さんに重ねていた。


そっと触れるだけの頼りないキスに、帯金さんは静かに微笑んで。


息も詰まるほどの激しいキスをくれる。
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