オレ様探偵とキケンな調査
「オレはきっと、椿のことも支えてやれねぇよ」


「それでも…いいです…」


「椿…?」


「あたしは自分で立ちます。立って、重くて歩けなくても、それでも帯金さんを…!」


───ぎゅぅっ…


言葉を封じるかのように、抱かれた腕の力が強く締め付けられる。


「バカ。離婚前の女がそれ以上言うな」


「でも…心はずっと一人ぼっちでした。だけど帯金さんとなら…!」


「帰れ」


「え…?」


「帰って二日酔いの頭、冷やせ」


胸からはがされ戻っていく体温。


突き放すように帯金さんは目を反らし、あたしを現実へ引き戻す。


「予定よりちょっと早いが、年明け早々、家庭裁判所へ離婚調停の申し立てをしろ。報告書渡したら、オレと椿はもう終わりだ。会うこともねぇだろ」


「帯金さん…」


デスクに戻ってノートパソコンを開く帯金さんに、あたしはもう何も言えなかった。
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