ニートな同居人
他愛もない話をしてご飯を食べた
時計をチラリ、と見ると6時40分
嗚呼、もう少しで出ないと
今日は一本遅い電車で行こうかな?なんて思って食器を持つ手を、彼が
「――俺がやる」
止めた
『え?』
「僕さあ、暇なの。ニートなのにゲームもそんな好きじゃなくてさあ。でも働くのも面倒でしょ?それで始めたのが料理。時々ご飯作ってあげるしアヤお金そんな持ってなさそうだからレストランとか連れてってくれなそーだしぃ」
プウ、と頬を膨らます彼に余計なお世話ねと言い返して席を立った
まあ住ませてあげる変わりにご飯くらい作ってもらえばいいか、なんて思ったからだ
洗面所で顔を荒い、歯を磨き、自分の部屋に戻って化粧をした
両親がせっせと汗水流して作ってくれた野菜のおかげで肌は色白いほうだと思うし、ニキビ1つない
ただ問題なのがこの地味メガネ
本の読みすぎと勉強のしすぎて目が悪くなってしまった
コンタクトにしようかな、なんて思ったけど異物を目に入れるのなんて抵抗ある
それに――、メガネをとっても私の顔は地味だし、可愛くもないし
考えるのもやめた、と自分の頬を両手でペチンと叩き化粧をした
うっすらとファンデをぬって眉毛をかいて終わり
正直化粧もするのも面倒だけど社会人として眉毛も整えずファンデも塗らないのは非常識な気がして…
化粧を終わらせて立ち上がって枕元を見た
そこには先ほど落とした万札
一応、お金だけ持っていかれたら困るし、引出の奥に通帳と万札を隠して部屋から出た