ニートな同居人
「―――着きました」
その運転手の声と共にパッとファイルを横からとられた
『え!?』
驚いて横を見るとファイルを閉じて私を見る彼
『いつ起きてたんですか…』
ビックリして聞くと「1時間くらい前」と帰ってきた
『え!?』
「横からブツブツ聞こえたら起きちゃうでしょ。でも真剣に見てたから邪魔しちゃダメかなと思ってずっと黙ってたよ」
ケラケラ、と楽しそうに笑っていた
『もう――、起きてたなら黙ってみたのに。で、もうついたんですか?」
あと30ページくらい読んでないのに…
不安と焦りで彼の顔を見ると、ファミレスを指さした
「―――飯!」
その指した指の先を見ると、今このファイルで見てた企業のファミレス
『ここ…』
「そ、折角だしここで食ってから行こうか。会社から経費で落ちるし好きなだけ食っていいぞ」
彼は車から降りて、私も降りたことを確認すると運転手に諭吉を1枚渡して"30分後"と伝えて歩き出した
それと共に走り出す車
『あの、さっきの運転手…』
去って行った車を指すと
「営業部の専属運転手だよ。て言っても一緒に営業しに行く部下みたいな存在でさ。今のはお駄賃あげるから美味しい物食べなさいって」
それでぽん、と諭吉をあげられるなんて太田さんってもしかして偉い人なのかもしれない―――…
いつの間にか歩き出した太田さんの後についていって、席に案内された
昼ごろのファミレスは大盛況
時間かかりそうだから早めに頼んで、とせかされてオムライスとサラダを注文した
太田さんはこれから営業だというのに1番高いステーキ
先に来たサラダを食べてるとオムライスが来た
それでも太田さんの注文したステーキはまだ届かず、気まずく食べていると早く食えとせかされて残り3文の1くらいになったらステーキが届いた
じゅうう、とあつあつとステーキを、ナイフで切ってばくばくと食べだす彼
…綺麗な顔をしているのにそれがすごくギャップがある気がした
同時くらいに食べ終えて、会計を済ませた
「――領収書下さい」
そう店員の人に伝えると、媚びにハートマークがついたように、はい!と返事が返ってくる
その様子を流石だなあ、と思い見ていた