ニートな同居人
「すいませんでした」
去って行った後ろ姿に太田さんは言ったあと小声で「止まんじゃねえ、バカ」と言った
『…すいません』
今度は私が謝り、それを確認すると太田さんは受付に向かうので着いていく
二人もいる案内さんなのに太田さんの姿を確認すると頬を赤く染め
「「こんにちわぁ。本日のご用件は?」」
と甘ったる声で言葉を発した
「こんにちわ。東欧コーポレーションの太田です。3時から薫(カオル)様と約束していたのですか」
"東欧コーポレーション"それは私達が働く会社だ
薫…様、とやらはきっと取引約束している人だろう
それを聞くと同時に先に受話器をとった片方の女の人が要件を伝える
片方の子はそれを悔しそうに見て、「すいません」と呼ばれた声に渋々方向を変えた
「――お待たせしました、太田様…薫さんが今から此方に来ますので少しお待ちくださぁい!それと…その…今日夜お暇ですかねぇ?」
その言葉に思わず反応してしまう
この女、仕事中の癖に誘うのか?
今日の夜って…そうゆうこと?
彼氏いない歴=年齢の私でもある程度わかる話で思わず太田さんを見た
『―――ッ』
太田さんの目は酷く冷たかった
その冷たい視線をむけられた彼女は「なんでもないです。仕事中にこんな事すいませんでした」仕事中だからこんな目をむけられたのかと勘違いしたのか、深々と頭を下げた
「…すいません」
何に対してかも分からない謝罪の言葉を彼女に言って、やってきた薫さんのあとをついていった
「行きますよ、楠さん」
その優しい笑顔にドキリ、とする
『はい』
と言って彼女の顔をチラリ、と見たら嫉妬か何か分からないけどひどく睨まれたので会釈をして彼についていった
薫さんはとても偉い人なのか、すれ違いざまの人が会釈をする
そして太田さんに熱い視線
その後ろを歩く私にはゴミを見るような目で見ていた