ニートな同居人



まだ時間もあるし、ご飯でも軽く作って顔を洗って歯を磨いて、化粧をしよう



とことん真面目な私は頭の中にある設計図を描く

そして、その予定を予定通りに過ごす




この会社は誰もが聞けば"ああ、知ってる!"と口をそろえて言うだろう

真面目な進学校にこの企業の人がきて説明をしてくれた時―――



ここだ、と思った


何より職場見学に行ったとき、大手有名企業なのに皆楽しそうで、活き活きと仕事をしていた




高2の春、その体験をしたあと大学に行く予定だった私は進路を"就職"に変更した


勿論有名大学も合格できる程の学力のあった私は、親にも先生にも猛反対された




大手企業にもかかわらず、高卒でも頭のキレるものはとる!という社長のスタイルのおかげで、今はココで働いている






――ガチャ、眠い目をこすりながら洗面所に向かおうとしたら



『…いい匂い』




リビングには二人前のご飯



…モーニングコーヒーと卵焼きと食パンとサラダ




「やっと来た!おはよう!」



ご飯を食べずに席で待ってる彼の目の前に座った


…これは、彼が作ったのだろうか






『…おはよう…、それと、これ』

ピ、と人差し指でご飯を指さすと



「嗚呼、冷蔵庫勝手に開けたよ?だって僕お腹すいたし、同棲してんだから当たり前でしょ?主婦夫なんてどお?」

冗談めいた言葉を言う彼の言葉に



『有難う』

と一言言ってご飯を食べた



他の事にいちいち言い返してたらキリがないしね、それに、ご飯を作る時間を省くことができた



今日の朝ご飯は、誰でも作れるメニューだけどすごく優しい味がした




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