優しさ、そして愛
蓮side
初めて会ったときから杏は
他とは違っていた
何にも染まっていない真っ直ぐな瞳で
いつも俺たちを見ていた
急に極道の家にきて
知らない奴に囲まれているのに
決して笑顔を絶やさなかった
杏を見ていると飽きなくて
話をすると楽しくて
借り物競争のときに
真っ先に杏の顔が浮かんだ
抱き上げた杏は想像より軽くて
少し力を入れたら折れてしまいそうだった
短期間で杏は俺たちの生活の
中心になっていた
打ち上げをしているこの時も
一緒にいないときは無意識のうちに
目で追ってしまうほど
その時、竣と翠が杏に
近づくのが見えた
俺は急いで立ち上がり
杏のことを抱き寄せていた