優しさ、そして愛


ここは思い切ってほしいもの
聞いちゃうべきだよね





さっき翠にも聞いたし




でもプレゼントはいいって言われるし
引き下がったけど私からもらえれば
何でも嬉しいって…






その言葉は嬉しいけど
もっと欲があってもいいのに






「欲しいもの、ですか…?」





真っ直ぐ前を向き運転しながら
竣は驚いていた




運転席のほうに身を乗り出し
竣の次の言葉を待った






「杏さんからいただけるんですか?」







「だって竣の誕生日だし!

 いつもお世話になってるから
 感謝の気持ちを込めて何か
 贈りたいの」






みんなにはお世話になってるし
これからあるみんなの誕生日も
精一杯お祝いしたい






「それでは一つだけ欲を言っても
 いいでしょうか?」





一度車を隅に寄せ私のほうを振り向く






期待と不安が入り混じった瞳で
竣が私を見た






「杏さんからいただけるなら
 何か身につけるものが欲しいです

 そうすればいつでもあなたを
 そばに感じられますから」





竣の少し低めの声で紡がれた
甘い言葉が私の中に溶け込んでいく






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