優しさ、そして愛
俺からの説明を相槌を打ちながら
真剣に聞いてくれた
全て話し終わると彼女は
一度視線を外した
その視線の先を目で追うと
一枚の写真があった
「私が持っている唯一の
家族写真なんです」
そこに写っているのは笑顔の家族
彼女の瞳は切なげに揺れた
泣きたいんじゃないかと思った
唇を噛み締め膝の上で握る手が
少し震えている
でも笑って気丈に振る舞っている
こちらの申し出にもどうしていいか
分からないと困っていた