首筋の月
「ぅ…っぁ、ああっ…!」
突然、首の左の脈あたりに焼けるような痛みが走る。
痛い、痛い…!
「ぁぁああっ…!!
はぁ、はあっ…」
少しして、痛みはおさまる。
何だったんだろう、あれは…。
「志紀…」
不意に、後ろから呼ばれた。
振り向くと、そこには知らない人が立っていた。
顔立ちはとても整っていて、長い白い髪に白の着物。
裾に咲いた赤い彼岸の花が、とても綺麗。
ぱっと見は女の人だけど、体格ががっちりしているから男の人だと分かった。
月の光のせいか、少し怖い。
「あの…あなたは?」