首筋の月




「ぅ…っぁ、ああっ…!」

突然、首の左の脈あたりに焼けるような痛みが走る。

痛い、痛い…!

「ぁぁああっ…!!
はぁ、はあっ…」

少しして、痛みはおさまる。
何だったんだろう、あれは…。


「志紀…」



不意に、後ろから呼ばれた。

振り向くと、そこには知らない人が立っていた。


顔立ちはとても整っていて、長い白い髪に白の着物。

裾に咲いた赤い彼岸の花が、とても綺麗。

ぱっと見は女の人だけど、体格ががっちりしているから男の人だと分かった。


月の光のせいか、少し怖い。




「あの…あなたは?」



< 17 / 53 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop