首筋の月
棗「可哀想に。
だれも信じることができなくなっているんですね。
…私も同じです。
だから────…」
ふわっ、とした感触があって。
気付いたときにはもう、抱きしめられていた。
棗「今まで本当によく頑張ってきました。
独りで、苦しかったでしょう。
もっと早くに迎えにくるべきでした、すみません。
…ただ、キミのことは誰一人忘れてなんかいませんでした。
いつも君は、愛されていましたよ。
それだけは、知っておいてください。」
その言葉に、抑えていた涙があふれた。