首筋の月
その声に驚き、ビクッと肩を揺らす。
棗さんの肩越しに見えたのは、短い青い髪の男の人だった。
これまた顔が整っているけど。
手に持っているのは、ここが日本ということを疑わせる物だった。
「剣…?!」
ふつうなら、銃刀法違反で捕まっている。
棗「……毎度毎度、邪魔ばかり…」
棗さんは、あたしから離れると、少し困ったように笑って、ため息をついた。
「お知り合い、ですか…?」
棗「志紀は気にしなくていいですよ。」
笑顔でそう言った棗さん。
それから、あたしに背を向け、青い髪の男の人と向き合った。
棗「これで何度目ですか?
ナオト君、君も相当しつこいですね。
そんなんだと、女の子に嫌われますよ?」
尚人「余計なお世話だ。
それより、さっさと志紀から離れろ。」
「そーだよー。
離れないと、アンタ死ぬよ?
バッチリ俺の射程距離内に入っちゃってるもんねー。」
ふと、上から声がする。
驚いて見上げると、電柱の上に少し長めの赤い髪の男が座っていた。
そういう彼は、銃を持っている。