首筋の月
ぐいっ
とたんに、腕を引っ張られる。
「ひっ…!」
「やっと会えた───…乃亜。」
ノア?
誰…?あたしは志紀なのに。
この人、あたしと誰かを間違えてる?
あたしの腕を引っ張った人は、その紫色の瞳を優しそうに細めた。
きれいな黒髪は、昼間の女の人を思い出すほどで。
棗「ッ貴方は…!
志紀に触らないでください!!!」
「もう遅い。」
吸い込まれそうな瞳が、あたしを捕らえる。
それから、整った顔が近付いてきて…
あたしの首筋に、キスをした。