首筋の月


「…っうあ、ぁ」

その瞬間、燃えるように熱が首へと集中する。
熱い、熱い…!

火傷に近い感覚で、痛みさえ感じる。

月を見たときといい、なんなのこれ?!


棗「ああぁ…よくも、何てことを…!」

霞「よっしゃ逃げるぞ!」

尚人「はぁ?」

霞「志紀ちゃんを連れ出すのが目的だろ?
だったらはやくずらからないとヤバいよ?」

チュッ

もう一度首にキスされる。
すると、どんどん痛みは引いていった。

尚人「…確かに、一理あるな。
荒夜、行こう。」

荒夜「あぁ…。」

「え?
ちょちょっ、ちょっと!!
離して降ろして帰らせて~!!」

急にお姫様だっこされ、びっくりするあたし。

ばたばた暴れると、男の人は言った。

荒夜「そんなに暴れると落ちるぞ。」

ひぃ…こっわ。
さっきの笑顔なんて微塵もない、恐ろしいほど冷たい紫があたしを見下ろしていた。

めっちゃ真顔…。


こっわ。

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