首筋の月
「きゃぁぁぁぁぁあああ───…!」
見える景色がどんどん高くなっていく。
あたしは男の人にお姫様だっこされたまま、空中へと急速に移動していく。
棗「…まさか月に向かって飛ぶとは…。」
後ろで悔しそうな棗さんの声がした。
えっ、ちょっとまってよあきらめないで棗さん!
あたし、知らない人に拉致られちゃうよ~…!!
「棗さん、助け───…」
助けて、と言おうとしたとき、棗さんは笑っていた。
その笑顔が怖くて、言葉が続かない。
棗「…フッ、まあいいでしょう。
いくらでも手はありますから。
必ず迎えに行くので、待っていてくださいね。
─────…破壊の女神よ。」