首筋の月
和真は親から虐待を受けてた。
初めて会ったとき、とっても怖い目をしていたのをよく覚えてるなあ。
周りに怯えて、警戒して。
野良猫みたいにフーフー言ってた。
小学校でも喧嘩ばっかりで。
でも親には何一つ言い返せなくて。
自分が悪いんだから。
だから愛されない。
愛されたい。
そんな思いで抵抗もできず。
可哀想な和真をほうっておけなくて。
ウザがられても、絡みまくった。
そしたらいつの間にか、仲良くなった。
“志紀ねぇ”って初めて呼んでくれたとき、すっごい嬉しかったなぁ…!
「………。」
和真「なんだよ。」
「ハァ…こんな生意気なクソガキに育っちゃって。」
和真「生意気なクソガキってなんだよ?!」
あたしは溜め息をついてあきれつつも、ちょびっと嬉しい気持ちと、ちょびっと寂しい気持ちが混ざっていた。