ライラック【企画】
裏向きにしてる渡された写真をひっくり返すと、
そこに映っていたのは
俺だった。
さっき俺があの花の花びらの匂いを嗅いでいたときの…。
「花のリベンジじゃなかったの…?」
「そうだよ。それの答えが、この写真」
にっこり笑って、俺の手から写真を撮った。
「この花だけを撮ることしか頭になかったの。
どの角度で撮ったらいいかとか、どのくらい明るさつけたらいいかとか、フラッシュを強制発光させたらどうかとか、
そんなことしか考えてなかったんだ、あたし」
視線の先の写真は、少しだけふんわりめにぼかされていて、
俺じゃないみたいな写真だった。