ライラック【企画】




裏向きにしてる渡された写真をひっくり返すと、




そこに映っていたのは


俺だった。




さっき俺があの花の花びらの匂いを嗅いでいたときの…。




「花のリベンジじゃなかったの…?」


「そうだよ。それの答えが、この写真」




にっこり笑って、俺の手から写真を撮った。




「この花だけを撮ることしか頭になかったの。

どの角度で撮ったらいいかとか、どのくらい明るさつけたらいいかとか、フラッシュを強制発光させたらどうかとか、

そんなことしか考えてなかったんだ、あたし」




視線の先の写真は、少しだけふんわりめにぼかされていて、

俺じゃないみたいな写真だった。




< 12 / 18 >

この作品をシェア

pagetop