ライラック【企画】
「けいくん、この花の名前と花言葉知ってる?」
「……しらない」
土に落ちた花びらを拾って、俺にくれた。
「名前はライラックっていうんだって」
「ライラック…?」
そのとき吹いた風が、麻央の綺麗な黒い髪を揺らした。
「花言葉は…初恋なんだよ」
「初恋……?」
麻央に手を伸ばした。
完全に無意識で、
きっと息をすることさえ忘れてた。
その瞬間が、すごく長く感じられて、麻央に一歩近づいた。
「すき」
「へっ……?!」
間抜けな声を出した麻央が、心底好きだと思った。
すき。
すき。
だいすきだ。