ライラック【企画】
それから麻央は本格的に写真部に入ったみたいで、
放課後はいつも花壇の花を撮っていた。
「花、好きだね」
「うひゃっ!……なんだぁ、けいくんか…」
ホッと一息をついて、麻央は綺麗な歯を見せて笑った。
「この花、すごく好きなんだけど…なんか思うように撮れないんだよね…」
麻央のレンズの先にあったのは、薄い紫色や白色の花びらが4枚の花。
「匂いもね、臭くなくて…ほんのり優しい匂いがするんだよ」
『可愛いよね、これ』
って、花びらを触る麻央の手を、俺がどれだけ握りたかったか。
「この写真見てくれる?」
「俺でいいの?」
「けいくんの意見が欲しいなっ」