ライラック【企画】





それから麻央は本格的に写真部に入ったみたいで、



放課後はいつも花壇の花を撮っていた。





「花、好きだね」

「うひゃっ!……なんだぁ、けいくんか…」




ホッと一息をついて、麻央は綺麗な歯を見せて笑った。




「この花、すごく好きなんだけど…なんか思うように撮れないんだよね…」




麻央のレンズの先にあったのは、薄い紫色や白色の花びらが4枚の花。





「匂いもね、臭くなくて…ほんのり優しい匂いがするんだよ」




『可愛いよね、これ』




って、花びらを触る麻央の手を、俺がどれだけ握りたかったか。




「この写真見てくれる?」

「俺でいいの?」

「けいくんの意見が欲しいなっ」



< 5 / 18 >

この作品をシェア

pagetop