オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん



大神くんは怪しい笑顔を浮かべながら

一歩、近くに寄ってくる。


後ずさりする私をくすって笑って

彼に触れた右手を掴むと

それをゆっくり自分の口元に持っていく。


ちょ……!

何するの大神くん!


嫌な予感が頭をよぎれば

それは的中するのもで、


大神くんは私の指を食べようと口を開けた。


ぎゅっ、と目をつぶった瞬間

聞こえるのは


「ガブっ!」

なんて声で、私は慌てて目をあける。


「なーんてね」


すると、そこには楽しそうに笑う大神くんがいた。

一瞬、彼の仕草に目を奪われてしまったけれど


はっと我に返って大神くんを押し返す。


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