オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん


その笑顔が私に向くのは、

怒っている時だということを知っていた。

私の手を取り引っ張ろうとする大神くん。

その手の威力は強くて痛い。


パシンー


「あ、わり」

すると今度は石渡くんが私の手を掴んだ。


「赤月、あのさ……今度タオルのお礼するから」


あまりに真剣な表情で言うから

びっくりしたけれど今はそれ所じゃない。


「あ、うん気にしないで!」

グイグイと強く引かれる私は

咄嗟にそう言って教室を出た。


大神くん……また怒ってる?


連れていかれるのは、いつものレッスンをしている教室で


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