オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん


「本当にごめん……」

目にじわじわと溜まる涙を頑張って堪えていると


「場所、移動すっか」


彼は私にそう言って、映画館のあまり人がいないイスに連れて行った。


「あり、がと」


きっと今、私のせいで嫌な気分になっている。


「ごめんね……石渡くん」


もう一度謝ったら、彼は私に聞いてきた。


「お前ってさ、もしかして男苦手なの?」


バレてしまっても仕方ないよね。

言いふらされたってもう、しょうがないよ。


覚悟を決めてこくりと頷くと、石渡くんは言った。


「ごめん……本当わりぃ事した」



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