オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん
違うの、オオカミくん


「あいつの所なんかに、行くなよ。」


ドキ、ドキ、ドキ

大神くんの温もりに私の心臓はまた早く動いてく。


ここから出て、待ち合わせ場所に行かなければ

花火は始まってしまう。


「大神くん……」

私がそうやって呼びかけても、

彼は何も言ってくれない。


「私行かなくちゃ……」

「行かなくていい」


ぎゅっと強く抱きしめられて

動けなくなってしまった私は言った。


「約束だから……」


行くって言ってしまったから

石渡くんが待っているから、行かなくちゃ。

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