オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん
すると、突然
抱きしめる手が弱まった。
「今日の僕は優しい
逃げたいなら僕の手を振り払って逃げればいい。」
「…………っ」
後ろから流れ込んできた言葉。
そんなの……ズルイ。
全然、優しくなんかないじゃんか。
振り払って逃げることは、確かに出来る
大神くんの中から抜け出して外に出ることは出来るけど……
「動かないの?」
「うん」
「なんで?」
「そんなの、分からないよ」
私は大神くんの腕の中にすっぽり収まったままだった。
「…………」
「…………。」
こうしていたいって思ったのかもしれない。