オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん


「…………っ」


感情がこみ上げる。

だって、本当はもう大神くんがここに来てくれただけで

嬉しくて泣きそうだったんだ。


すると大神くんは今度は私の方をみた。

それにビクリと体を反応させたら彼はしゃがみ込んで言った。


「赤月さん、僕と付き合って下さい」


見開く目。

こぼれる涙。


息をするのも忘れてしまいそうなくらい

ぼーっと彼を見た。


大神くんが……大神くんが

私より目線を下に、しゃがみこんで

しっかりと名前を呼んでくれた。


それで、それで……

付き合ってほしい、だなんて。



< 284 / 317 >

この作品をシェア

pagetop