オオカミくんに、食べられちゃった赤ずきん


「もう一生近づかないって誓ってくれる?」


さらに腕を掴む力を入れているようで

彼は顔をゆがませた。


「早く、言えよ」


「分かった、分かったから!

もう、近付きません……一生……」


その言葉を聞くと

大神くんはぱっと手を離して


私に目で合図をした。


”付いてきて”


スタスタ歩きだす大神くん後を追う。


着いたのはいつも使ってる多目的室だった。


ピシャリと閉められた教室で

やっと心が安心する。


だけど手は、今もまだ震えていた。


怖かった……



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