声
声
暖かい陽射しが注ぐ小春日和。
風はまだ肌寒い。
『おはよう!律子おばちゃん!』
『おはよう陽菜ちゃん。』
私たちは今年。六年生になった。
『おばちゃん。心汰は?』
『まだ起きてこないの。』
律子おばちゃんは
私の幼馴染みの
心汰
と、蘭汰
のお母さん。
呆れたように
ため息をつき
階段の下から心汰に呼び掛ける。
『おばちゃん。このホットケーキおいしそうだね。』
『ふふ。食べていいよ。』
心汰を待ちながら
ホットケーキを頬張った。
『心汰ぁ!ほら陽菜ちゃん来てるから!』
タンタンタンタン
小さな足音が鳴り
しっかり着替えてランドセルを背負った心汰が降りてきた。
『心汰おはよう!』
「うん。おはよう陽菜ちゃん。」
『準備出来てるんじゃない。ご飯食べて?』
「いいんだ。もう行こう陽菜ちゃん。」
『え!』
『一枚くらい食べてきなさいよー。』
心汰は玄関に向かい靴を履き始めた。
私はまだホットケーキを食べたかったけど。
あとを追うことにする。