素直になれよ
「え?」
頭が真っ白になった。
アイツがいなくなるなんて考えてなかったし、
なにより頭がついていかなかった。
「嘘でしょ?」
いつもみたいに、笑って嘘だよって言ってほしかった。
「嘘じゃない。」
本当だということを思い知らされる。
「いつ?」
せめて、あと少し一緒にいる時間がほしかった。
「明日。」
明日?
みんなには、言ってかないの?
せめて、住所だけでもと思った瞬間。
「どこに行くかも、誰にも言わないつもり。」
なんで?
なんで、言わずに行っちゃうの!
「なんで、って思ってるだろ?」
あたしは、泣きそうになりながらも黙って頷いた。
「ごめんな。」
いつも、アイツが謝ることなんてないから
あたしは何も聞かないことにした。
聞いちゃいけない気がしたんだ。
「じゃあな、またどっかで逢おうな!」
そう言ってアイツは、あたしに背を向けた。
「あ、まって!」
あたしは、離れて入ってしまうアイツを引き止めた。
「あの、あのね、元気でね!
また、逢えること、楽しみにしてるから!」