実らぬ恋〜『コンビニに行こう!』番外編〜
〜バレンタイン〜
ここまでは、多分俺のほうがハルちゃんにとって大きな存在になってたと思う。
俺にとっても…幸せだったんだ。
でも焦ってたのかもしれない。
だって…
見ちゃったんだ…。
アパートの前に佇む純さんの彼女を…。
しきりに携帯を気にしながら…純さんの帰りを待つ彼女を…。
きっと会う約束なんてしてないんだ…。
そう…
別れ間近って感じで…とても切なそうで…切羽詰まった顔をしていたんだ。
俺に気付いた彼女は、
『市川…見なかった?』
少し震える声で尋ねてきたことがあった。
…“市川”って…
彼女って普通下の名前で呼びあうんじゃねぇの?
やっぱり…
彼女じゃないのか?
って疑ってしまうよ…。
でも、彼女は純さんが好きなのは確かだ。