恋色ミルクティー
「っもう、奈都、おっそーい!」
公園に入るなり、瑞稀が叫んだ。
そこには、既に集まった3人の姿。
もちろんだけど、川崎くんもいる。
「私は時間ピッタリに来たよ?皆が早すぎんの!」
瑞稀を見ながら、「皆」って言ってみた。川崎くんも含まれてる。
「いいよいいよ、皆揃ったから、行こ行こ!」
相変わらずテンション高めな瑞稀は、そう言うと共にフラットに井上の手を握る。
私は川崎くんと顔を見合わせた。
「……なんか、凄いよね、瑞稀」
「俺たち、いていいのって感じなんだけど」
付き合って初めての会話……だと思う、多分。
少なくとも私の記憶上ではそう。
先を行く瑞稀たちの背中を見つめる。
「行こっか」
私が言って、歩き出す。
後ろからすぐに川崎くんは追い付いて、私の隣を歩き出した。
一瞬だけ、触れそうで触れない左手に期待してみたけど、その期待はすぐに頭の中から追い出した。
今はただ、一緒にいるだけでもお腹いっぱいみたいな、そんな感じだった。
「瑞稀ー!置いてかないで!」
前を歩く瑞稀たち(正確に言えば瑞稀。井上に話しかける勇気はない)に声を掛ける。
瑞稀たちは立ち止まって、私たちが追い付くのを待った。
一直線に横に並んだ私たち。
四人の恋が、それぞれのスタートラインに立った。
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