恋色ミルクティー

予想外の出来事の連続で、私は混乱に陥っていた。
そっと彼が腕をはずす。
正面から向き合った。
「……いきなり、ごめんな」
首を横に振る。
「これ、本命だよな?」
川崎くんが手元の箱を見ながら言った。
「うん……」
火照った顔を両手で押さえながら答える。
「じゃあ、今日から、俺の彼女になってください」
川崎くんが、ちょっと改まってそう言った。
これじゃ逆告白じゃん。
嬉しいけど、やっぱ自分の想いを伝えられなかったもどかしさが残る。
「……いいに決まってんじゃん」
ちょっと微笑みながらそう言ってみた。
その瞬間、彼に笑顔が咲く。
「……送ろっか?」
「ん?」
「家まで。送ろっか?」
「……いいの?」
「いいよ、送るから。家どこ?」
彼はそう言って歩き始めた。
「あっ、ちょっと、待ってよ!」
私は駆け出した。
暗がりの中に、私と彼の声と笑顔が響く。

チョコレート、作ってよかった。渡してよかった。
『天野のこと、好きだから』『俺の彼女になってください』
彼の声が、フワリと頭を駆け抜けていく。
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