恋色ミルクティー



「奈都、デート、したの?」
瑞稀がずいっと顔を近づけて聞いてきたのは、2月28日。
「はい?」
あまりの唐突さに、私は思わず聞き返した。
「付き合って二週間じゃん。デートくらいしなよ」
さすがはチャラ男を彼氏とする女。感覚がマセてる。
「いやいやいや、まだ一緒に帰ってすらないんですけど」
サッカー部の川崎くんは毎日練習漬け。そんなに強くもなく、週3レベルでぬるっと練習してる吹部の私とは帰宅時間なんて全然違う。
瑞稀の彼氏の井上涼は部活なんて入ってないから、彼はチア部の練習終わりを待っとけばいいだけ。
環境が違う。
「えーなんかもったいないよー」
瑞稀が言う。
デートなんて頭の片隅にもなかったんだけど。
「いきなりデートとか言われても何すればいいかわかんないし……」
「そんなんテキトーでもどーにかなるよ?」
その感覚がわかんない。
完全にクエスチョンマークを飛び散らせてる私に、瑞稀はこう言った。
「じゃあさ、ダブルデートは?」
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