幼なじみはイケメン4人組


作業が終了し、残っていたメンバーもそれぞれ帰っていった。

教室に残っているのは、私とマーくんだけ。



「迷路、まだ作ってるの?」

「うん、念のため」

「……でも、それでもう5枚目じゃない?」


「少ないよりは多い方がいいから」



迷路は1時間ごとにルートが変わる。 と事前に決めていたし、その分のルートは既に完成している。

ついでに言うと、予備として3つのルート表も用意されている。

……なのに、マーくんは『予備の予備』として5個もルートを作っていた。



「……目、疲れない?」

「そりゃあ疲れるよ。 目を閉じても迷路が浮かぶくらい疲れるよ」

「じゃあやめればいいのにー」


「うん、もうやめる」



予備の予備を完成させたマーくんは、他のルート表が入ってるクッキー缶の1番下に、作ったばかりの5枚をしまった。



「マーくん、いよいよ明日からだね」

「うん、早く終わって欲しい」

「……女装コンテストがあるから?」


「そうじゃなくて。 ……いや、まぁそれもあるけど。
ほら、朝とか放課後とか ずっと準備で忙しかったから、本が全然 読めなかった」

「あー、そっか。 そう言われるとそうだね」



学園祭が近づくにつれて、自由な時間はどんどん無くなっていった。

マーくんは一人で居るのが好きだし、本だって いっぱい読みたかったはず。



「……あ、もしかして ずっと機嫌が悪かったのは本が読めなかったせい?」

「え?」

「なんか今日、ずっと怒ったような顔してたじゃん?」



本が読めなかったから機嫌が悪かったのかな? と思ったけれど、マーくんは首を横に振って微笑んだ。


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