幼なじみはイケメン4人組
呆然と立ち尽くす私に、マーくんは小さな声で話を始めた。
その顔は、やっぱり穏やかだ。
「歩夢がミサを好きだったように、俺もミサが好きだった。
俺のそばで笑ってるミサが好きだったし、ミサの力になりたいって いつも思ってた」
「……」
「歩夢がミサに告白したあと、俺は俺なりに自分の気持ちを考えてたんだ。
この先ミサと どうなっていきたいのかを、ずっとずっと考えてた」
マーくんの手が、優しく私の髪を撫でる。
その顔は穏やかでありながらも、どこか寂しそうなものへと変わっていた。
「……天秤の話、覚えてる?」
「……うん……」
──『今までのバランスを崩してしまうのが怖くて、これ以上近づけない。
崩れるとは決まってないけど、保たれるとも決まってないだろう?
だから結局、何も出来ないままここに居る。 ミサに言ったことは、全部自分に対してのものなんだよ』
マーくんの言葉が鮮明に頭に浮かぶ。
……マーくんは、私との距離が壊れてしまうことを恐れていたんだ……。
……相手は、私だったんだ。
「バランスを保つのって、崩すよりも遙かに難しいだろう? お互いがお互いのことを考えるからこそ、バランスは保たれる」
「……」
「……俺、1歩どころか5歩くらいミサに近づいたんだけどさ、それでもバランスは変わらないんだよね」
「え……?」