幼なじみはイケメン4人組
ここは校舎の3階。
ベランダに出れば中庭の様子が窺えるし、食堂や体育館も見える。
……あ、晃太くんだ。
舞台袖のドアのところで、女子生徒と話してる。
「おやおや、我がクラスの委員長二人がお話中だ。 俺がサボってるのバレちゃったかー」
私の隣に来た政宗さんは、タバコの煙をふぅーっと吐きながら微笑んだ。
どうやら晃太くんと話をしてる女子生徒は、同じクラスの委員長さんらしい。
遠くからだから よくわからなかったけど、晃太くんの何度も『ごめん』のポーズを取っていて、女の子の方は怒っているらしい……。
「こりゃ、明日は大目玉かな」
……そう言いながらも、政宗さんは全然気にしてない感じ。
慣れてるというかなんというか……ごくごく当たり前のように二人を見ている。
「……もしかして政宗さんって、しょっちゅうサボってます?」
「サボってるねぇ。 学園祭の準備は7割サボったよ」
「……最後の学園祭なんだから、頑張ろうとかは思わないんですか?」
「旬や晃太は思ってるだろうけど、俺はどうでもいい。 他校の友達と会えるのは嬉しいけど、それ以外は別にどうでもいいや」
「……そうなんですか……」
私のクラスは一丸となって準備をしてきたから、政宗さんみたいな人が居ることが驚きだ。
サボる人なんか居なかったし、あの歩夢でさえきっちりと仕事に参加していた。
……でも、政宗さんみたいな人も居るんだ……。
「……色んな出店 回ったりするの、楽しいと思いません?
教室でも色々なイベントやってるし、体育館も色々やるじゃないですか」
「んー、出店で買ったものは美味いけど、わざわざ あちこち回ったりはしないなぁ。
教室もあんまり回らないし、体育館だって表には行かない。 裏の仕事は『仕方なく』だよ」
「……じゃあ、どうして私の腕を引っ張ってきたんですか?」