幼なじみはイケメン4人組
1回、2回、3回、4回……5回目のコール音の途中で電話が繋がった。
『もしもーし、日下部 歩夢のセレブで優雅なプライベートの朝を邪魔するのはどちらのミサっちですかー』
「……なんか、どこを突っ込めばいいのかわかんないんだけど……えーっとね、とりあえず私、今 学校に居るんだ」
『へ? ミサっちもう学校なの? 俺 今さっき起きたばっかりだよ。 じゃあアレか、今日はおはよーのチューはなし?』
「『今日は』っていうか、したことなんかないけどね」
『いやいや、実は寝てるミサっちに毎朝チューしてるんだよ?』
「はいはい、わかったわかった。 じゃあ学校で待ってるから、早くおいでね」
そう言ったあと、歩夢の返事を聞く前に電話を切った。
歩夢は歩夢のままだなぁ。 なんてことを思いながら笑みを浮かべる。
その時に、マーくんが廊下を駆けてくるのが見えた。
「おはよ、ミサ」
「おはよっ!! ……ていうか走ってきたの? なんか、メチャクチャ呼吸 荒いんだけど……」
「走ったよ。 全速力で走って、逃げてきた」
「逃げてきた?」
ハァハァと肩で息をするマーくん。
こんな風に疲れてるマーくんは見たことがない。
いったい、何から逃げたんだろう……?
「おいマーくん!! なんで逃げるんだっ!!」
「……あ、また来た……」
廊下の向こうから『うおぉーっ』と走ってきた茶髪の男子生徒──マサくん。
あぁ……マサくんから逃げてきたんだ……。
「お前っ、なんで俺の顔 見た瞬間に走って逃げてんだっ!!」
「それは、つい本能で」
「なんでだよ!! 俺より優しい奴なんかこの世に居ないだろっ!!」
「あー、そうですね、はい。おっしゃる通りです」
「……この野郎、可愛くない後輩だなっ」
マーくんのサラサラヘアーをグシャグシャっとしたあと、マサくんは私を見てニコッと笑った。