幼なじみはイケメン4人組


時刻は11時10分。

……これからどうしよう?



今日、旬ちゃんの話は誰もしていない。

旬ちゃんがどこに居るかはわからないし、連絡も来ていない。

……誰と一緒に居るかも、わからない。



「ミサっちは、これからどうするの?」



柔らかな笑みで問う歩夢に、『わからない』と正直に言う。



「全然何も決めてなかったから、どうしようか迷ってる。
とりあえず中庭に行ってご飯買って食べようとは思うけど……それ以外はわからないや」

「そっか」

「歩夢は、今から女の子たちとデート?」


「うん。約束は守らなくちゃね」

「……うん」



約束は守らなくちゃ、か……。

旬ちゃんの小指と私の小指を絡め合わせた時のことを思い出し、少しだけ胸が痛くなる。

それでも、精一杯の笑顔で歩夢を送り出す。



「楽しんできてね、歩夢」

「うん、ミサっちもね」



そう言った歩夢は、ひらひらと手を振って去っていった。



「……マーくんは これからどうするの?」

「政宗さんのところに行って手伝ってくるよ」

「あ、連絡先の交換済ませてたんだ?」


「うん、晃太兄経由で」

「そっか。 でも……せっかくの学園祭なのに、マーくんはもう回らないの?」

「昨日ミサと一緒に回ったから、俺はもう大丈夫」



とても優しく笑ったマーくんは、私の髪を少しだけ撫でた。


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