幼なじみはイケメン4人組
マサくんの言葉よりも、旬ちゃんの言葉を……。
つまりそれは……10年以上一緒に居た時間を、信じるということ……。
「何百何千と冗談を言い合ってきたけれど、今は違う。
俺と美玲とは何もないし、これから先も何もない。 俺はミサが好きなんだ。
だから、俺の言葉を信じて、俺の隣に居て欲しい」
「……でも……」
「あーもう、『でも』なんか要らねぇよ。 俺が聞きたいのは『でも』じゃねぇんだって」
「……」
「……もう1回 好きって言ってくれ。 俺のことが好きだって言ってくれ。 俺が聞きたいのは、今のミサの想いだけだ」
私の今の想い。
旬ちゃんに対する想い……。
他のものなんて必要なくて、目の前に居る人にだけ、伝えたいこと……。
「……私は旬ちゃんが好き。 大好きなの。 他の誰にも渡したくないって、思ってる……」
また涙がボロボロと溢れる中で、私は私の想いを伝えた。
隠すことなく、嘘をつくことなく、真っ直ぐに旬ちゃんを見つめながら。
「美沙子」
「あっ……」
「俺の想いも、おんなじだよ」
──いつも『ミサ』と呼んでる旬ちゃんが、何年ぶりかわからないほど久しぶりに『美沙子』と呼んだ。
私の涙を優しく拭って、どこか泣きそうな顔で微笑んで、また優しく抱き締める。
「俺はずっとお前と居るよ。 だから『大嫌い』なんて二度と言わないで。 俺が好きなのは、美沙子だけだ」
「……うん……」
旬ちゃんの言葉を聞いて、小さく何度も何度も頷いた。
私は旬ちゃんが好き。
そして旬ちゃんは、私を好きだと言ってくれた。
……お互いの想いを信じればいい。
それ以外は必要ない。
私を抱き締める旬ちゃんと、旬ちゃんを抱き締め返す私。
それは、私たちの想いが1つになった瞬間だった。