幼なじみはイケメン4人組


「……馬鹿だなんて思ってないよ」



小さく息を吐いたマーくんが、本棚の上の方を見ながら言葉を続けていく。



「相手と釣り合うかどうかっていうのは、自分次第なんだよ。
天秤って、ほんの少し重さが変わっただけでバランスが崩れるだろう? 人間もそれと同じ」

「天秤……」

「相手との距離を考えて、1歩引いたり、前へ出たり。
近づきすぎても遠くなりすぎても、決して上手くいくことはない」


「……」

「ミサは『釣り合わない』と言ったけれど、初めから釣り合ってる人間なんて絶対に居ないと思う。
釣り合うっていうのは、お互いが相手のことを想って動くからこそ釣り合うんだよ。
何もせずに『釣り合わない』って言うのは、自分を卑下して逃げてるだけだよ」



逃げてるだけ。

その言葉がグサリと心臓に突き刺さる。


……まさに、その通りだと思う。


私は、『私なんて』とか『私みたいなやつが』とか、いつも思ってた。

私なんかが藤沢くんのそばに居たって……と、ずっとずっと思ってた。


……もしも1歩前へ出ていたら、何かは変わったのかな……?



「……俺も、逃げてるんだ」

「え……?」

「今までのバランスを崩してしまうのが怖くて、これ以上は近づけない。
崩れるとは決まってないけど、保たれるとも決まってないだろう?
だから結局、何も出来ないままここに居る。 ……ミサに言ったことは、全部自分に対してのものなんだよ」


「それ、って……」



……マーくんは誰かに恋をしていて、私と同じように何もせず毎日を過ごしてる。ってこと……?


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