幼なじみはイケメン4人組
──『……3分以内に起きないと遅刻決定だよ?』
うわー……メッチャ思い出した。
眉間にしわを寄せて不機嫌そうに言うのが、その時の決まりみたいな感じだった。
『メッチャ怖いっ!!』って思って飛び起きてたのに、なんで忘れてたんだろう。
むしろ、怖すぎて記憶を抹殺してたんだろうか……。
『始業ベルの10分前まで外で待つから、ちゃんと準備して下りてきて。
10分切ったら部屋に突入して叩き起こすから、そのつもりで』
「あっ……了解ですっ!!」
『じゃあ、また明日』
「おやすみなさいっ!!」
『おやすみ』
そんなやり取りをしただけで、あっという間に電話は切れた。
「……明日、頑張って起きよう……」
去年のマーくんの表情を思い出しながら、小さく体を震わせる。
その時に、図書室でのことがハッと頭に浮かんだ。
「……マーくんの好きな人の話、聞くの忘れてた……」
でも『おやすみ』と言ってしまったし、去年の表情を思い出したら、なんだか聞きにくい……。
結局私は何も連絡しないまま、その日は眠ることにした。