幼なじみはイケメン4人組
ニヤリと笑う歩夢。
……『思い出作り』を逆手に取って言葉をかけるのは、さすがだ。
「……なるほど、確かに歩夢の言う通りかも」
「なんなら旬ちゃんも誘ってさぁ、4人で出ちゃおうよ。 旬ちゃんは絶対こういうの好きっしょ?」
「あー……旬にも声かけたんだけど、出ないって言ってたよ。 忙しいんだって」
そう言って微笑んだ晃太くんが、ふと私を見た。 ような気がした。
「実行委員の仕事?」
「ううん、ミサの子守り」
「あー、なるほど。 それなら仕方ないかぁ」
「うん、仕方ない」
……いや、ちょっと。
『子守り』で納得しないでよ。
「あのね、晃太くん、歩夢。 私は別に、子守りされてる気なんてないからね? むしろ私が旬ちゃんの子守りをしてるんだからね?」
「はいはい、わかったわかったー」
「……歩夢、そのニヤニヤした顔は何?」
「別に? 俺から見たら二人とも子供だなぁって思ってるだけだよ?」
「旬ちゃんは年上で、私と歩夢はタメじゃん」
「でも二人とも子供っぽいしー」
「う る さ い」
クスクスと笑う歩夢の頭を渾身の力で叩くけれど、歩夢は笑顔を崩さない。
そんな私たちを見るマーくんが、お弁当箱を片付けながら ぼそりと言った。
「五十歩百歩、ドングリの背比べ、似たり寄ったり、大同小異」
「……ちょっと、マーくんっ」
「さてと。 図書室に行くんでお先に失礼します」
にっこりと笑い、あっという間に去っていったマーくん。
歩夢は『よく言ったぞ正人っ』と けらけら笑い、晃太くんは『歩夢も含まれてるんじゃない?』とクスクス笑う。
そんな中、私は一人 ほっぺたを膨らませながら、校舎に入ろうとしているマーくんの背中を見続けた。