幼なじみはイケメン4人組
「マーくん、おはよっ」
教室の中央の列の1番後ろの席で本を読んでいたマーくんに声をかけ、その隣の席にカバンをかける。
「おはよう、ミサ」
小さな笑みとともに言葉を発した、マーくんこと工藤 正人(クドウ マサト)。
4人居る幼なじみの最後の一人だ。
マーくんはかなり おとなしい人……というか、クールな人、だろうか?
いつも誰かがそばに居る歩夢とは正反対で、マーくんは大抵一人で過ごしている。
でも一人の時間は全然苦ではないらしく、むしろ一人の時間を好んでいるみたい。
数日前にあった席替えの結果、今は私の隣の席に座っている。
ちなみに歩夢は中央の列の1番前の席だ。
……ここに居るマーくん、廊下に居る歩夢、そして3年生の教室に向かった旬ちゃん、晃太くん。
私はその幼なじみ4人組の誰かに『お嫁さんになる』と言った。
だけど、いったい誰にそう言ったのか、まったく思い出せないんだよね……。
誰かに聞けば、あの時のことを教えてくれるかも?
……うーん、でもそれはちょっと、聞きづらい……。
だって、『お嫁さん』だなんて……ねぇ?
小さい頃の話だから誰も本気にはしてないだろうけど、わざわざ それを蒸し返す必要はない、よね。
……私たち5人は、今までずっと仲良く過ごしてきた。
なのに私の言葉のせいでギクシャクしてしまったら……なんて思うと、やっぱり聞けない。
うん。
気にはなるけど、やっぱりこのまま黙って過ごしていこうっ。
ずっと仲良くやってきたんだし、これからもそうやって過ごしていければそれでいいもんねっ。
それに、私は今……同じクラスの男の子に恋をしている。
だから昔の記憶なんて、今は必要ないんだ。