幼なじみはイケメン4人組


「……私、今までずっと『幼なじみ』としか思ってなかったんだ」

「うん」

「……歩夢の気持ち、全然何も知らなくて……私は多分、いっぱい歩夢のこと傷つけてきたと思う」



いつだって歩夢はお馬鹿なキャラで、一緒に居ると楽しいけれど、それと同じくらい疲れるし、呆れる。

……だから私はいつも『馬鹿歩夢』って言って頭を叩いたり、足を踏んづけたり背中を叩いたり、おっきな ため息をついてみせたり……。

ずっと、歩夢にヒドいことをしてきたと思う。


なのに歩夢は、私をずっと好きでいてくれた。

最低な私のことを ずっとずっと想ってくれていた……。


それがどうしようもなくツラくて、胸が張り裂けそうだった。



「私、最低な奴なのに……それでも歩夢は『好き』って言ったんだよ? 『ミサが好き』って、ハッキリそう言った。
私は……私は全然歩夢の気持ちに気付かなかったのに、それでも歩夢は、私のそばに居てくれた……」



胸が苦しくて、涙が溢れそうになってきた。


……私は片想いのツラさを知ってる。

楽しさも幸せな時間も知っているけれど、ツラい気持ちだって知ってるんだ。

なのに歩夢の気持ちには気付かなかった。


『片想いのツラさを知ってるのは自分だけ』という気になって、周りのことなんて考えたこともなかった。



……本当に、私は最低だ。


< 96 / 220 >

この作品をシェア

pagetop