望むものはココロだけ
そんな私に久しぶりに話しかけてきた父は信じられないことをいう。
「彼は雨宮財閥の御曹司だ。今は雨宮系列の会社の社長をしている」
「・・・」
「雨宮に嫁げばウチも安泰だ。この結婚に関してはもう決定事項だ。いつまでもうちに居ないで雨宮に嫁いで少しでも一ノ瀬の為に貢献しろ」
「まぁ、一つだけ疑問なのはなぜ長女の咲ではなく、この出来損ないなのかということだが・・・」
父の言葉に酷く傷ついた。
それと同時に、やっと開放されるのかという喜びもあった。
父は続ける。
「今週末に雨宮君と会うことになっているから、準備しておきなさい。」
「・・・わかりました。」