はまきり
中谷さんは俺を両手で突き飛ばした。
その場に倒れ込む俺の隣に中谷さんも倒れ込んだ。
彼女の太腿から血が流れていた。
「う……」
俺は中谷さんに駆け寄り、彼女の身体を起こした。
「大丈夫?」
「大丈夫…野添くんにケガがなくて良かった。」
そして、彼女は黒い何かを睨み付け、自身の制服のスカートに手を伸ばす。
スカートを捲りあげると、左足の太腿にベルトがついており、そこに一丁の拳銃のようなものが収まっていた。
彼女はそれを掴むと黒いものにその先を向けた。
黒い何かが再び動き出す、その瞬間…彼女は引き金を引いた。
白い光と轟音…
黒い何かの動きは止まり、地面に崩れ落ちた。
「これ…カラス…?」
黒い何かの正体はカラスだった。
しかし、カラスにしてはサイズが大きく、目は赤い色をしていた。
「烏天狗の使い魔…」
「烏天狗?」
「聞いたことある…この森の奥に、烏天狗が封じられてるって。」